スカパーJSAT株式会社 様

SCTE104 VANCインサータ/デコーダ DU-187/DU-188 導入事例

スカパー!オンデマンド IPリニアサービスのコンテンツマスキング処理で使用。


DU-187/188を導入いただきました、スカパーJSAT株式会社様での運用をご紹介します。

導入に至る経緯や運用         

 スカパー!オンデマンドとは、スカパー!の番組をスマホ・PC・タブレットで視聴 できるサービスです。
2016年には放送サービスと同じチャンネル・番組をリアルタイムに視聴できるIPリニアサービスを 開始しました。
今までであれば、IPリニアサービスを実現するためには、インターネット配信できない CMやコンテンツは別のものに差替える必要がありました。しかし当社では各チャンネルの編成をそのまま活かしたいと考え、配信できないコンテンツに マスクをかける方式での仕様検討を進めてまいりました。
一方、海外では一般的にコンテンツ差替え用のトリガ信号としてSCTE104信号を使用している 経緯もあり、また当社が導入した海外製エンコーダとの親和性も高いことから、本サービスでも SCTE104規格を採用することで課題解決をする流れとなりました。

*SCTE104信号とは、米国SCTE(Society of Cable Television Engineers)にて規格化された素材差し替えトリガ信号。

 システム構築にあたって、SCTE104インサータ、デコーダを調査しましたが、当社が 求める機能を実装した機器が無く、アサカ様に開発を依頼しました。当社プレイアウト設備では既にコンテンツを差し替える情報の管理機能は実装していましたが、 局間制御信号(ARIB B39)のプライベート領域に情報を格納して配信していました。
そこでアサカ製のSCTE104 VANC インサータ(DU-187)で局間制御信号のコンテンツ 差し替え情報を認識し、その情報を元にSCTE104信号の挿入を行えるようにしました。これにより、営放システムでIP配信権利の無いコンテンツに差し替え情報を設定し、編成するだけで、DTH用に送出した映像信号がIPリニア用のエンコーダにて代替コンテンツ(マスク)へ差し替えと切戻しができるようになりました。 全ての処理を一台の筐体内で行うため、フレーム精度での制御が可能です。

 本装置の開発はスカパー!オンデマンドのIPリニアサービスを普及させることが目的 であったことから、当社プレイアウト設備以外のプレイアウト設備にも大規模なシステム 改修無しで導入できる必要がありました。
そのため、差し替え制御情報を局間制御信号に加えて接点制御でも行えるようにしました。
  監視については、アサカ社のSCTE104 VANCデコーダ(DU-188)を利用し、SCTE104 VANC インサータ(DU-187)で重畳されたハートビート信号を検知することでDU-187の機器異常を 監視するとともに、SCTE104信号を使用した差し替え状態の監視を行えるようにしました。


プレイアウトシステムにおけるインサータ装置の機能概念図
▲プレイアウトシステムにおけるインサータ/デコーダ装置の機能概念図

導入後の成果、今後の課題

 DTHしか放送できないコンテンツを編成しているチャンネルでIPリニアサービスを 立ち上げるとき、新たなプレイアウト設備が必要となりますが、本装置を使用することにより、 DTHとのサイマルが可能となり、設備投資を抑えることができました。また、当社がプレイアウトを行っていないチャンネルにおいても本装置が導入され、IPリニアサービスが拡充され、2017年10月時点で70チャンネルのIPリニアサービスを ご視聴いただけるようになります。
 現状はSCTE104信号での差し替えは静止画のみとしていますが、今後は動画を 挿入できるように機能拡張の検討を進めたいと考えております。




 スカパーJSAT株式会社
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